皆さま、明けましておめでとうございます。
毎年毎年、同じご挨拶を最初に述べているかと思いますが、本年は今までになく「明けましておめでとうございます」という「お約束」のご挨拶に、「力」がこもるのを今感じております。
記憶の遥かかなた、「リーマンショック」なる強烈な一撃に端を発し、この時計宝飾業界にも激震を与え、この業界のほぼすべての方々にとって、行く年2009年はまさに「辛苦」の一年であったかと。時計宝飾業界に「辛苦」の時が訪れるということは、それをお買い求めになられる、主にこの国で住まう多くの人々に「辛苦」の時が訪れているということを意味します。
私共株式会社ホッタも、おかげさまで昨年無事創業130周年という記念すべき年を迎えることが出来ましたが、やはり色々な「辛苦」を味わいました。ただ、辛く苦しいことばかりではなく、明るくなる、楽しくなる話題もあった一年でありましたし、本年2010年は「明るく」、「楽しく」過ごして参りたいと、「あけましておめでとうございます」の言葉に強く込めてこの初春を、皆さまとご一緒にお祝いしたいと存じます。
話は変わりますが、日本にも、世界にも、数々の「神話」というものがございます。この日本における「神話」で有名なのは、「古事記」や「日本書紀」に見られる、日本創世期の神々の物語です。神話がなぜこれまで語り継がれているかと言えば、神々の物語と、私たち人間達の物語に「相似形」とも言える局面が多くあり、そこに我々が学ぶべき何かが息づいているからでありましょう。
私なりの解釈ではありますが、「リーマンショック」後の現在は、「スサノオノミコト」が悪戯の限りを尽くし暴れ周り、太陽神であるスサノオの姉「アマテラスオオミカミ」がそのショックで「天岩戸」にお隠れになり、世界が真暗闇になってしまった状態を指すかと。
そして、その暗闇はどのようにして晴れたのかと言えば、八百万の神々がどうしたら闇が晴れるのか、アマテラスさまは岩戸からお出まし頂けるのか、智恵を出し合い、現代の言葉で言うところの「会議」をくりかえし、答えが出ないところに、「芸能の神様」である「アメノウズメノミコト」が、滑稽な踊りを踊り始め、神々がそれを面白がり、「会議」が笑いに包まれた。その笑い声を不思議に思った「アマテラス」が、岩戸を少し開いて、その様子を覗き見ようとしたまさにその隙に、「タヂカラオノミコト」が、重たい岩戸の扉を一気に開き、世界は再び「アマテラス」の光によって照らされ、平和な時を取り戻すことが出来た…というわけです。
この物語と、我々が現在置かれている状況とを照らし合わせた時に産まれてくるインスピレーションとは何か? 我々が今為すべきことは何か? それは我々が楽しく歌い、踊り、笑いの渦を起こし、我々にとっての光であり、恵みである、「お客さま」という名の「アマテラス」の興味を惹きつけ、岩戸に手をかけて頂き、そしてその瞬間を逃すことなく、重たい「扉」を皆で力を合わせ除けてしまい、お出まし頂くことではないでしょうか。
果たして、我々は以前よりも笑っているでしょうか?楽しく仕事をしているでしょうか?
この問いにYESと答えられなければ、間違いなくお客さまのベクトルは、時計宝飾品よりはリーズナブルな生活必需品の方へ、時計宝飾品であれば、「価値」よりは「価格」の方へと強く向いてしまうでしょうし、そうなれば我々の業界内でさらにリストラ圧力強まることにしか繋がりません。
まさに笑う門には福来る。
笑えなくとも、無理やり笑う。酷い状況も何かユーモラスな部分をみつけて笑い飛ばす。
その位の心構えでこれから行きませんか?少なくともこの業界の多くの皆さんは、私も含めて長く続く売上減によって、膝がカクカク笑っているはずですから(笑)。
さて、ここで話を締めくくれば良いのかも知れませんが、この神話には後日談があります。
悪戯の限りを尽くし、天界を滅茶苦茶な状態にしてしまった「悪役」たる「スサノオ」ですが、その後改心をし、今度は「ヤマタノオロチ」という本当の「悪役」を退治する「ヒーロー」としての役を演ずることになります。
この業界を滅茶苦茶にした「スサノオ」とは何か?
私自身この文脈における「スサノオ」とは、私は我々の心そのものであると思っています。
お客さまが、無くても充分幸せに生きていける「時計」や「宝飾」にお金を使っていただき、結果として我々の生活が支えられているのであるという絶対的真実を忘れ、どうすればより売上が取れるか、ライバルやお客様を出し抜いてでも自社の売上を上げるかという「欲」にまかせて仕事をしてきてしまった我々の浅はかさこそが「スサノオ」であり、それは改心することで、「ヤマタノオロチ」という皆を苦しめていた本当の意味での悪役を退散させ、平和な暮らしを取り戻すという「ヒーロー」、「ヒロイン」になり得るのが我々自身であると思います。
すべての答えは自らの心の中と、行いの中にあるはずです。
そういったビジョンの下、株式会社ホッタおよび株式会社ホッタインターナショナルは、お客さまの満足の為に、今までより2倍働き、3倍笑い、4倍幸せを作り出す会社でありたいと思っております。
倍旧のご指導ご鞭撻、そしてご愛顧をお願い申し上げまして、新年のご挨拶と代えさせていただきます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
株式会社ホッタ
取締役社長 堀田 峰明